【政策インサイト】供給信頼度評価が「半月単位」へ精緻化。EUE算定基準の見直しが容量市場・供給計画に与える影響

2026年1月28日、電力広域的運営推進機関(OCCTO)にて「第115回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」が開催されました。 本会合では、将来の必要供給力を算出する根幹となる「供給信頼度評価(EUE)」の手法見直しについて、具体的な方針が示されました。

今回の決定は、2026年度以降の供給計画や、将来の容量市場(メインオークション)における需要曲線作成に直結する重要なアップデートです。

議論の背景:月単位評価の限界

これまでEUE(Expected Unserved Energy:供給支障期待値)を用いた需給バランス評価は、「月単位(年12断面)」で行われてきました。
しかし、近年の気象変動により、特に春・秋の中間期において、月前半と後半で需要傾向が大きく異なるケースが増加しています。従来の「月平均」的な評価では、こうした月内の変動リスクを過小(あるいは過大)評価してしまう懸念がありました。

決定事項①:評価断面の「24断面化(半月単位)」へ

より合理的な評価を行うため、EUE算定の粒度を細かくする方針が固まりました。

  • 変更点: 従来の「1か月」単位から、「月を前半・後半に分割」した「24断面」での評価へ移行します。
  • 目的: 特に春季・秋季における「厳気象(H1需要)」のリスクを、より実態に即して評価するため
  • 適用スケジュール:
    • システム改修が必要なため、当面(2026年度供給計画や次回容量市場など)は、既存ツールを用いた「簡易的評価(24断面の考え方を適用した12断面評価)」を実施
    • システム改修完了後(2027年度以降のメインオークション等)から、正式に24断面評価を適用予定。

決定事項②:基礎パラメーター(停止率等)の更新

EUE算出の基礎となるデータについても、直近の実績を反映させる見直しが行われます。

  • 計画外停止率: 3年ごとに見直すルールに基づき、直近の2022年度~2024年度の実績データを用いて再計算します。
  • 年間計画停止可能量: 近年の需給逼迫により、発電所の補修点検時期を春秋などにシフト(調整)せざるを得ない状況が続いています。こうした運用実態を踏まえ、補修計画の組み方(モデル)も見直されます。

エナジーアグリラボの視点:事業へのインパクト

一見すると計算マニアックな変更に見えますが、これは「国(広域機関)が考える『必要な供給力』の量が精緻化される」ことを意味します

  1. 必要供給力の適正化: 評価メッシュが細かくなることで、これまで「なんとなく月単位で均されていたリスク」が顕在化し、特定の時期(特に端境期)の必要供給力(目標調達量)が増減する可能性があります。
  2. 容量市場への影響: メインオークションの「需要曲線」はこのEUE評価に基づいて作成されるため、将来の募集量や約定価格に間接的に影響を与えます。
  3. 発電・DRの運用: 補修計画(計画停止)のモデルが見直されることで、発電事業者にとっては補修計画の策定・調整における制約条件が変わる可能性があります。

電力システム全体が「どんぶり勘定」から「データに基づく高解像度なリスク管理」へと進化する過程の一環であり、事業者はより精緻な需給見通しを前提とした戦略が必要になります。

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