【政策インサイト】2029年度容量市場、約定総額2.2兆円。東西で価格差が生じる「4ブロック分断」の結果に

2026年1月30日、第71回 容量市場の在り方等に関する検討会が開催され、今月20日に公表(23日訂正)された「2029年度(令和11年度)実需給向けメインオークション」の約定結果について詳細な報告と評価が行われました。

今回のオークション結果は、日本の電力システムが抱える地域間の連系制約と、調整力リソースの変化を色濃く反映するものとなりました。主要なポイントを解説します。

1. 結果の概要:約定総額は2.2兆円規模へ

  • 約定総容量(全国): 1億6,608万kW
  • 約定総額(全国): 2兆2,094億円(経過措置控除後)

将来の供給力を確保するための対価である約定総額は、約2.2兆円となりました。これは将来的に小売電気事業者の負担金(=私たちの電気代)として回収される原資となります。

2. 全国が「4つの価格エリア」に分断

今回の最大の特徴は、連系線の制約により全国一律の価格にならず、エリアごとに価格が異なる「市場分断」が明確に発生した点です。以下の4ブロックで異なる約定価格(エリアプライス)がつきました。

  • 高値エリア(約1.5万円):
    • 九州: 15,112 円/kW(最高値)
    • 東北・東京: 15,111 円/kW
    • 北海道: 14,972 円/kW
  • 安値エリア(約1.2万円):
    • 中部・北陸・関西・中国・四国: 12,388 円/kW

需要の大きい東京エリアや、再生可能エネルギーの導入が進む九州エリアで価格が高止まりする一方、中部以西の広域ブロックでは相対的に安価に落ち着くという「東西価格差」が浮き彫りになりました。

3. 【重要】発動指令電源(DR等)で「抽選・足切り」が発生

アグリゲーターやDR(デマンドレスポンス)事業者にとって衝撃的な結果となったのが、「発動指令電源」の扱いです。

  • 事象: DRなどの「発動指令電源」の応札量が募集要綱で定められた「応札上限(H3需要の4%)」を超過しました。
  • 結果: ルールに基づき、一部のエリアで落札・非落札を決めるための「抽選(ランダム決定)」や、実効性達成率による選別が実施されました。

これにより、価格競争力があっても、制度上の「枠」の上限によって市場から締め出される電源が発生したことになります。

💡 エナジーアグリラボの視点

今回の結果は、今後のアグリゲーションビジネスに重大な示唆を与えています。

1.「DRの枠」が限界に

発動指令電源が上限(4%キャップ)に達したことは、DR市場が成熟し、プレイヤーが増加した証左です。しかし同時に、今後は「DRリソースを集めれば必ず売れる」時代が終わり、枠を巡る椅子取りゲームが激化することを意味します。

2. エリア戦略の重要性

東京・九州と関西・中部で約3,000円近い価格差がつきました。蓄電池やDRリソースを「どのエリアで開発するか」が、事業収益(IRR)にダイレクトに影響します。高価格エリアへの戦略的なリソース配置が鍵となります。

2029年度に向け、電力市場は「量さえあればいい」フェーズから、「エリアと質を見極める」フェーズへと完全に移行しました。


(参考資料)

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