系統用蓄電池の収益戦略を左右する 2026年4月需給調整市場 大改正の行方
🔋 イントロダクション:蓄電池事業者は2026年4月の制度変更をどう読むべきか
第108回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 制度検討作業部会が2025年10月29日に開催されました。
その中で需給調整市場について議論が交わされています。
資料はこちら https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/108_04_00.pdf
2024年4月の需給調整市場の全商品取引開始以降、特に前日商品(三次調整力②など)で調達費用の高騰や募集量未達が課題となってきました 。これに対し、2026年4月には、現在の週間商品(一次〜三次調整力①)が前日取引へ移行するという、市場全体を揺るがす大きな制度変更が控えています 。
1. 三次調整力②(前日商品)の現状と2026年以降の価格予測
(1)現状の価格推移と募集量削減効果
三次調整力②は、需給調整市場のコスト高騰の主要因であったため、2024年6月以降、募集量削減係数の導入による募集量削減が段階的に実施されてきました 。
- 成果: 資料のデータが示す通り、2024年5月頃に高騰していた三次調整力②の調達単価は、募集量削減係数の導入以降、総じて低減傾向にあります。これにより、調達費用総額も減少傾向が確認されています 。
(2)2026年以降の価格予測と課題
- 予測: 2026年4月の制度変更では、週間複合商品が前日取引へ移行することで、応札が三次調整力②から複合市場へ流出する懸念が示されています 。
- インサイト: この応札の偏りが発生した場合、三次調整力②市場では募集量が不足する可能性があり、一時的に価格が上昇に転じるリスクも考えられますが、基本的には募集量が抑制され続けているため、高単価が継続する可能性は低いと予測します。
2. 複合商品(一次〜三次調整力①)への系統蓄電池応札の集中と今後の展望
(1)蓄電池応札のシフトと動向
2024年度の需給調整市場では、蓄電池リソースの応札動向に大きな変化が見られました。
- 実績: 2024年4月以降、当初は三次調整力②市場への応札が多いリソースの割合が高かったものの、2024年12月以降は複合市場(一次〜三次調整力①)への応札を行うリソースが中心になっています 。これは、三次調整力②の募集量削減係数導入を受け、収益機会を複合市場に見出した系統蓄電池事業者が増えたためと考えられます 。
(2)2026年の複合市場と一次・二次①の収益性
2026年4月以降、この複合市場は「前日取引化」と「取引単位の30分化」が図られます 。
- 募集量増の期待: 発電事業者アンケート結果では、この変更により、複合市場への応札を増加させる事業者が一定程度存在するとの示唆が得られています 。
- 一次・二次①の課題: 一方、市場全体として、一次・二次調整力①は2026年度も引き続き応札量が不足する可能性があると見込まれています 。系統蓄電池は現状、火力や揚水に比べ一次・二次調整力市場での約定単価が非常に高い傾向にあります 。
- インサイト: 2026年以降、複合市場への応札が増加しても、最も応答速度が求められる一次・二次調整力①の希少価値は依然として高く保たれる可能性が高く、高度な充放電制御技術を持つ蓄電池にとっては、複合市場こそが収益の主戦場であり続けるでしょう。
3. 【結論】系統用蓄電池事業者が取るべき戦略
2026年4月以降、需給調整市場の収益構造は以下の2点に集約されます。
- 複合市場の戦略的活用: 系統蓄電池の技術的優位性を最大限に活かし、応札量が不足しがちな一次・二次調整力①の収益機会を複合市場で確実に獲得することが、収益最大化の鍵となります。
- 三次調整力②の偏りリスクの管理: 複合市場と三次調整力②への応札は同一タイミングで行われますが、現状は同一札から双方への応札ができない仕組みです。応札が複合市場に偏る懸念があるため 、市場の募集バランスを考慮し、経済期待値が最大化するよう、どの商品に応札を振り分けるかの高度なシミュレーションとロジックが不可欠となります。
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エナジーアグリラボは、政策委員としての知見、高度な充放電制御アルゴリズムの開発経験、および系統蓄電池事業化の実績に基づき、2026年4月以降の市場環境に最適化された収益最大化戦略の策定をご支援します。
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