【エネルギー政策速報】分散型リソース(DER)が主役になる「計測ルール」と「必要量」の転換点
2026年最初の注目審議会である「第59回 需給調整市場検討小委員会」が2026年1月20日に開催されました。 今回の議論を一言で言えば、「VPP/系統用蓄電池が、いよいよ真の市場プレイヤーとして解き放たれるためのインフラ整備」です。
PhD/MBAの視点から、今回の決定が各事業者のPLに与えるインパクトを読み解きます。
第59回需給調整市場検討小委員会(第76回 調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会と合同開催)
■ 今月のインサイト・ダッシュボード
カテゴリー
注目ポイント
系統用蓄電池(影響特大)
1次調整力の先行導入と、2027年度以降の機器個別計測の全国展開。
アグリゲーター(影響特大)
サブメータリングによる家庭用・産業用リソースの供出コスト激減。
電力小売り(影響中程度)
3次②必要量の約23%削減による、調整力調達費用の低減(託送料金抑制)。
■ 意思決定を左右する3つの重要 Facts
1. 機器個別計測(サブメータリング)の具体的解禁スケジュール
これまで参入障壁となっていた「受電点計測」の原則が崩れ、リソース個別の計測値での市場参加が具体化しました。
- 1次調整力: クラウドデータ活用等の暫定運用により先行導入を検討。
- 全エリア展開: 託送システム改修に合わせ、2027年度以降順次開始。
- インサイト: 計測器設置コストがボトルネックだった家庭用EVや蓄電池のVPP化が、一気に経済合理性を持つようになります。
2. 3次調整力②必要量の「23%削減」という衝撃
2025年3月から導入された「30分単位取引」とアンサンブル予報の導入の効果検証が報告されました。
- 結果: 単位を細分化したことアンサンブル予報の導入で、必要量の算定精度が上がり、2025 年 4 月から 10 月において従来手法(取引単位 3 時間ブロック)による必要量と、本施策導入後の必要量を比較したところ、全エリア合計で約累計で約23%の必要量削減を達成。
2024 年度値と比較して、 2025 年度の必要量は全国合計で 約 28.5 億 ΔkWh (▲ 31.2%31.2%)の低減が確認。 - インサイト: 「募集量の減少」は、蓄電池事業者にとっては「売り先のパイが狭まる」ことを意味します。単なる待機報酬狙いから、より緻密な応札戦略へのシフトが不可欠です。
3. 2026年度「複合市場」30分化に伴う算定ロジックの変更
1次〜3次①の複合市場においても、30分単位化に合わせた必要量算定手法(組み合わせ算定)が採用される見通しです。
- ポイント: 過剰な調整力確保を抑える「組み合わせ算定」により、市場全体の効率化が進みます。
■ エナジーアグリラボの分析・コメント
今回の審議会資料の行間を読むと、一般送配電事業者の姿勢が「DERをいかに制御するか」から「DERをいかに市場へ引き出すか」へ明確に転換したことが分かります。
特に資料2(機器個別計測)における「IoTルート活用までの暫定措置」の議論は、スピード感を重視する実務家にとって大きなチャンスです。
「計測コストの低下 = 限界利益の向上」。 この数式を自社のビジネスモデルにどう組み込むか。2027年度の全面解禁を待つのではなく、2026年度の先行導入フェーズでいかに「データと実績」を積み上げられるかが、次世代アグリゲーターの勝機を分かつでしょう。
■ 詳細レポート(創刊号)のお知らせ
今回の審議会を含めた1月度の経産省、電力広域的運営推進機関、電力・ガス取引監視等委員会の全情報を網羅し、各電力事業に合わせたのPLへの影響等を評価した『Energy Strategy Navigator 1月号』を間もなく発行いたします。 ご興味のある方は、DMまたはWebサイトよりサンプルをお申し込みください。


