【速報】グリッドコード改定:系統用蓄電池に「充電側の力率一定制御」が義務化へ
第20回 グリッドコード検討会における系統蓄電池の充電時電圧変動対策
2025年12月16日に開催された電力広域的運営推進機関(OCCTO)の「第20回 グリッドコード検討会」にて、蓄電池の充電時に生じる電圧変動への対策として、新しく「充電側力率一定制御」の要件化が決定しました 。
これまで蓄電池の力率制御は「放電時(逆潮流)の電圧上昇抑制」に限定されていましたが、今後は充電による電圧低下を防ぐための「進み力率運転」が必須となります 。
1. 新ルールの概要と対象範囲
- 新要件の内容: 充電時に生じる系統側の電圧低下を抑制するため、一定の力率(系統から見て進み/遅相運転)で無効電力を注入する機能を具備すること 。
- 制御範囲: 系統から見て進み力率80%〜100%の範囲(1%刻み)での設定能力 。
- 対象リソース: PCSまたは電力変換器を有する蓄電池のうち、系統からの充電(順潮流)が生じるもの。高圧・低圧の全容量が対象となります 。
※自家消費目的で、系統への放電(逆潮流)を行わない蓄電池は対象外です 。
2. 事業者へのインパクト:コストと連系工期
- 設備コストの増加: PCSメーカー側の開発・認証費用(1機種あたり数百万円〜数千万円規模)が発生しますが、量産効果により1台あたりのコスト増は数万円〜数十万円程度に留まると試算されています 。
- 連系工事費の抑制(大きなメリット): 本要件への対応により、系統側での太線化(電線張替)や電圧調整機器(SVC等)の設置が不要になるケースが増えます 。これにより、これまで多額だった**「工事費負担金」の削減**と、運転開始までの工期短縮が期待できます 。
- 遡及適用のなし: 既設設備への遡及適用はありません 。あくまで新規連系設備が対象となります。
3. 開始時期(スケジュール)
- 一般(高圧以上):2027年4月
- 低圧(50kW未満):2027年10月(流通在庫への対応期間として半年の猶予あり)
4. VPP/DR専門家としての対策アドバイス
今回の検討会では、充電時と放電時で個別に力率を設定する「パターン①」が、無効電力の注入量を最小化できるとして優位と評価されています 。
【今後の対策ステップ】
- PCS選定のアップデート: 2027年以降の運転開始を目指すプロジェクトでは、充電側の力率一定制御に対応可能なPCSを選定スペックに加える必要があります。
- 接続検討の最適化: 本要件を前提とすることで、系統対策工事(SVC設置等)を回避できる可能性があります。アクセス申込時に、力率制御による電圧変動抑制の効果を織り込んだ協議を行うことが、コストダウンの鍵となります。
- アグリゲーションへの影響確認: 進み力率運転に伴うPCSの有効電力出力への影響(皮相電力容量の制約)を考慮し、DR/VPPとしての制御可能量を再精査しておくことが重要です。
💡 編集後記
蓄電池が「単なるエネルギーの貯蔵庫」から、力率制御を通じて「系統の安定化装置(インフラ)」としての役割をより強く求められるフェーズに入りました。初期投資の微増は避けられませんが、それ以上に「連系できない」「工事費が高すぎる」というボトルネックを解消するポジティブな動きと言えます。
エナジーアグリラボでは、こうしたグリッドコードの細かな変更が事業収益に与える影響を分析し、最適な設備構成・運用戦略をご提案しています。
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